歌舞伎町の『健康プラザハイジア』界隈は、ご存知の通り、立ちんぼエリアです。夜な夜な、というか割と昼間っからも、売春目的の女性がウロチョロしています。“常連オンナ”がざっと10人くらいはいるんじゃないでしょうか。
今回の紹介するのは、そんな常連オンナの一人。本人が『くま太郎』と呼ぶ熊のぬいぐるみを常に持っていることから、界隈で『くま太郎』というあだ名が付いている名物エンコー嬢です。
ぼくが彼女に興味を持ったのは、1年半前。YouTubeで、夕方のニュースの特集『歌舞伎町のネットカフェに住む女性たち』を見ていたときのことです。熊のぬいぐるみを抱えた、見覚えのある女性がインタビューを受けていて…。
<24才>
<親との折り合いが悪く10代後半で家出>
<パニックと鬱と過食おう吐で、障害者手帳持ち>
<3歳と0歳の2人の子持ち。上の子の父親とは離婚、下の子の父親とは連絡が取れない>
テレビ出演を果たしたハイジア嬢ってことで、なんとなく興味を持ったわけです。
(みんなのニュース・2016年2月16日放送回 https://www.youtube.com/watch?v=Bd0YcwiFExI/ )
だからその後、ハイジアで見かけるたびに意識していたのですが、数ヵ月後、あることに気づきました。ぬいぐるみの熊が、別の熊に変わったんです。似ているんだけど少し違うやつに。
なぜ変えたんだろう? 気分転換か?
なんて思っていた今年の春先、ハイジアから、くま太郎の姿が消えました。
歌舞伎町の売春事情に明るい知人によると、くま太郎はデリヘルで働き始めたとのこと。いなくなる前に、熊のチェンジについて聞いとけばよかったなーと、妙に後悔したわけですが…。
先日(17年11月2日)、ハイジア界隈を歩いていると、ラブホ『カラフルP&A』の向かいに、熊のぬいぐるみを持った女性が座っていました。彼女です。
くま太郎、復活したんだ! よし、気になっていることを聞いてみましょう。
近寄っていって隣に座ります。
「このクマ、どうしたの?」
「300円で取ったー」
顔を上げるくま太郎。曰く、1週間ほど前にUFOキャッチャーでゲットした熊とのこと。
しゃべったのは初めてですが、気さくな雰囲気の女性です。観察していたことは伏せ、それとなく尋ねてみます。
「名前とか付けてるの?」
「くま太郎」
「ふーん。熊のぬいぐるみが好きそうね? 前から持ってたりする感じ?」
「そう、これで10代目くま太郎」
そんなに変えてんのかよ!
「…ちなみに、過去のくま太郎はどっかに置いてるの?」
「んーん、オタキアゲした。徳島に送って」
オタキアゲ? スマホで『徳島 ぬいぐるみ オタキアゲ』とネット検索してみると、「お焚き上げ」というサービスをしている業者がヒットしました。ぬいぐるみを引き取り、神社で供養した後、発展途上国へ送ってくれるようです。
なるほど、この業者を使って、初代から9代目までのくま太郎は処分したわけか。ネットカフェ暮らしだけに保管は厳しいし、ゴミ箱へ捨てるってのもアレってことなんでしょうな。
では、肝心の疑問をぶつけてみましょう。
「でも、同じ熊のぬいぐるみをずーっと持ち続けない理由って、何かあるの?」
「んー、それは」
「ちょくちょく新しくしたくなっちゃう的な?」
さぁどう答える? 一年半越しの疑問が解決する瞬間です。
「やっぱ、汚れちゃうんで」
えっ、そんな理由!? 単純過ぎだよー!
『10代目くま太郎』は、ボディがこげ茶色なんで汚れが割と目立ちにくいと思いますが、毛足は長めなんでそのへんからダメージが始まると思われます。来年の春には『11代目くま太郎』が登場するんじゃないかと、ぼくは睨んでます。
いずれにしろ、ハイジアの名物嬢くま太郎さん、復活してくれてありがとう。近頃の東京の路上売春は池袋が中心なんて言われ、向こうにエンコー嬢が流れていってるだけに、この動きは本当にうれしいです。これからも応援してます!
場所・ハイジア