歌舞伎町の人気の個室型ネットカフェ『カスタマカフェ』が、2019年の暮れより、“カレー食べ放題”サービスをやっています。店内の一画に、カレーの鍋とお米の電子ジャーが置いてあり、お客の皆さん、ご自由に食べて下さい、とまぁそういう話です。
昨日3/28、昼過ぎ、歌舞伎町で仕事の打ち合わせを終えた私は、なぜか急に、
「そうだ、昼飯にカスタマのカレーでも食べてみよう」
と思い立ち、カスタマへと向かいました。ただ、別に意気揚々みたいな感じではなかったです。ネットカフェでタダで提供されているゴハンなんて大したモンじゃないだろうし――。というモノは試しのノリでした。
カスタマはビルの7階に入っています。
エレベーターを降りると、正面が受付。その先のロビーに、『カスタマダイニング』と書かれたバイキングコーナーがあるのが見えました。
ひとまず30分コース(250円)で受付を済ませ、個室に荷物を置きに行きます。
そしてロビーに戻ってくると、改めてバイキングコーナーを眺めました。
カレー、白いごはん、鶏そぼろっぽい肉片が入った色付きのごはん、ふりかけや醤油、そしてタマゴなどが置いてあります。さっそく、カレーをもらいますか。
お皿にゴハンを入れ、カレーの鍋の蓋を開けます。おたまを握ったそのとき、バイキングコーナーに2人組の女性がやってきました。
おやっと思いました。
どちらも若い子なんですが、それにしてはやけにシャレっ気がない格好をしています。
片方の女の子は、紺のスウェットと紺のワイドパンツ。もう片方の女の子は、オーバーサイスの紺のTシャツをワンピースのようにダボっと着ているのですが、そこにシャレた感じはなく、これまた部屋着のような印象です。
共に、この格好で自宅から歌舞伎町までやってきたのではなく、カスタマでリラックスして過ごすために個室で着替えたのではないでしょうか。ということはこの2人、どういう人種でしょうか? ネカフェの過ごし方に長けている、ってことは繁華街で遊び慣れている、なんなら歌舞伎町に住んでる子なのかもしれません。
そんなことを思いつつ、カレーをよそい終えると、鍋におたまを戻します。
「お待たせしました。どうぞ」
わたしが置いたおたまを、髪型ボブの片方が取り、自分の皿にカレーを入れ始めました。ほー、ねーさん、けっこうガッツリりいくんですね。
何の気なく思ったことが口をついて出ました。
「おれも、もうちょっと、カレー入れよっかな」
2人がこちらを振り向きます。何この独り言オッサン、みたいな感じで。
わたしは何となくバツが悪くなり、誤魔化し半分、おどけてみせました。
「いやー、おねーさん、ついでにおれの皿にもカレーをもうちょいよそってくれない?」
自分の皿を突き出すと、ボブの子が戸惑った表情を浮かべます。しかし、おたまがこちらの皿に向き、カレーがよそわれました。わっ、優しい。ねーさん、ノリがいいっすね。
さて、肝心のカレーの味はというと、思った通り、大したことはなかったです。例えるなら、ボンカレーの甘口といったところでしょうか。
ただ、一瞬だけど、ふわっと気分の浮いた時間を過ごせ、楽しい昼飯になりました。
カスタマのこのバイキングコーナー、穴場なのかも。だってほら、町の若い子とカレーのおたまを渡し合ったりできる交流スポットなんて、そうはないわけだし。
…って、でもあれか、今の時期、おたまのやりとりなんて、がっつり濃厚接触なのかな…。