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緊急事態宣言、死を待つしかないホームレス!人が消えた歌舞伎町は経済困窮者続出!

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本日より、「緊急事態宣言」の状況下となりました。歌舞伎町の“町の人“たちからは、「店を閉めた」とか「パートのシフトを全カットした」とか「たぶん来月の給料は遅れるだろう」などという、悲痛な声が続々聞こえています。

経済的に追い詰められる方が、続出します。もしかしたら、死ぬ人もいるんじゃないか? ぼくはそう思います。

大げさではありません。このコロナ禍、すでに絶望の淵にいる、歌舞伎町のホームレスの話を聞いてください。

昨日4月7日の夕方のことです。

歌舞伎町のある商業ビル『T』へ立ち寄ったときでした。館内の隅の窓際のベンチに、久しぶりの顔がありました。S子さんという、50代の女性ホームレスです。どこか怯えるように背中を丸めて座り、窓の外をぼんやり見つめていました。

近寄っていくと、S子さんがこちらに気づきました。しかし、何となく正気のない虚ろな目をしており、そのまま窓の外に視線を戻します。久しぶりで照れくさいんでしょうか、あるいはまた違う気持ちの揺れでしょうか。

「S子さん、お久しぶりです」

返事はありません。…何だかおかしい。

顔をのぞき込んでみると、頬がコケ、目は落ちくぼみ、髪はベトっとテカっています。前に会ったのは去年の暮れだったと記憶しますが、そのときよりも明らかに顔色が悪い。衰弱し切っているといった表現がしっくりきます。

今もそうだとは思うのですが、S子さんの収入源は、“売春”と知り合いからの“ほどこし”です。寝床はネットカフェ。しかし、お金が入らない日が続けば、何日でも路上で耐え忍び、知り合いと遭遇するのを待つという生活です。

ぼくも一時期は、町で顔を合わせるたび、というかほとんど毎日、声をかけていました。そしてバカ話をし、自分ができる範囲の”気持ち”として、缶ビールの「金麦」を買ってあげていました。

対して、S子さんは喜んで受け取りながらも、プライドが高いところもありました。たとえ1週間、ネットカフェに入ることができずとも、自分から“ほどこし”のおねだりはしない。「死ぬときはまぁ、そのときよ!」とタンカを切っていました。

しかし今、この衰弱し切った様子は…。町がこんな状況に陥り、しかし自分はマスクすら付けていない。そして知り合いも来ない。体力的にも精神的にも限界に来ているのかもしれません。

「…ねえ、S子さん」

黙ったままです。息苦しい空気が流れます。ぼくも窓の外に目を向けました。

通りは閑散としています。「カラ館」も「ロボレス観光案内所」も「カラオケ747」も、店を閉めています。「のぞき部屋マドンナ」のギラギラしたネオンが、人がいなくなった街の寂しさをかえって強調しています。

…いつまでこの状況が続くんでしょうか? 緊急事態宣言を抜ければ、町に人が戻ってくるんでしょうか? S子さんがまた“ほどこし”を受けられる日々が戻ってくるんでしょうか? ただ、そこまでS子さんの体力が持つのか…。

漠然とした不安に襲われました。サイフから千円札を取り出します。そしてカバンに入れていた未使用のマスクも。

S子さんの手に押し付けました。

「…じゃあ、また来るからね」

これっぽっちを渡したところで何の解決にもならないことはわかっていますが、渡さずにはいられません。

S子さんが詫び入るように言いました。

「……ありがとう」

今にも泣きそうな表情でうなづくと、再び窓の外に視線を戻すSさん。ぼくはその消え入りそうな背中を見つめながら、Tを後にしました。

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