おとつい4月16日を区切りとして、歌舞伎町の自粛動向が、次のステージに入った印象です。町が抱える2つの難題、感染防止、経済危機。後者に目を向けたとき、海千山千が集うこの大繁華街らしい一面、“貪欲さ”が垣間見え始めたからです。ちょこっと語らせてください。
順序立てて話をしていきます。
東京都が、飲み屋などを含む6つの業態に対し、休業要請を出したのが、1週間前の4月10日です。
「緊急事態宣言を抜ける、5月6日までお店の自粛営業をお願いします」
その際、東京都はお金の話もしました。お店の皆さんもヤリくりがキビシイでしょうから、タダで、とは言いません、こういう保障をさせてもらいますよ、と。
打ち出されたのが『感染拡大防止協力金』です。
内容を簡単にまとめると、こう。
・遅くとも4月16日からは自粛営業に入って下さい
・そして5月6日までの自粛期間中、飲み屋さんは夜8時までしか営業しちゃダメです、風俗店さんは全休でヨロシクです
・また、自粛期間中ってことがわかるように、ホームページに告知したり、店頭に張り紙したりしてね
・協力してくれたら、小さいお店には50万あげます、大きいお店には100万あげます
というお達しでした。
町がザワつきました。
例えば、わたしの知人の飲み屋の大将は表情をゆがめました。
「感染を広めないようにしたいのは山々だけど、たった保障が50万ぽっちですか。店の家賃を払って、スタッフの給料払って、となると、ぜんぜん足りないですよ」
そしてこうも続けました。
「だけど要請を無視し、この冷え切った町の状況の中、通常営業をしたところで、どんだけ集客できるのかってのも正直ある。だから、まぁここはやっぱり自粛し、8時閉店にし、協力金をもらいにいくのかな」
果たして、町はどうなったのか?
他の多くのお店のみなさんも、その大将と同じような経営判断をしたのでしょう、翌11日以降、町のお店が次々とシャッターを下ろしていきました。
あれよあれよのうちに、町はどこもかしこも『臨時休業』の張り紙だらけに。
そして、協力金支給の条件に定められた、自粛営業開始のデッドライン16日を迎えたわけですが…。
では、ここから冒頭の“貪欲さ”の話をします。
昨日17日の夕方のことです。歌舞伎町の、あるお店の入り口にふと目がとまりました。
<臨時休業>
張り紙が出ていたのですが、あれっと思ったんです。入り口が半分開いており、光が漏れている。何の気なくのぞいてみたところ、中の様子は明らかに営業している感じでしたから。
さらにその夜、ツィッターを見ていたときでした。『LUNA COMPANY』というホストクラブグループの社長さんによる、他のホストクラブグループに対して抗議声明のようなツィートを見かけました。
私が注目した部分は、赤線の一文です。
『コソコソ営業している事業者はちゃっかり補助金や協力金を受け取るような二枚舌はやめていただきたい』
つまり、自粛を偽装しているホストクラブがあるようなんです。私が気になったお店はホストクラブではないんですが、同様に“自粛偽装”だったのかもしれません。
そんなわけで、らしさも見え隠れし始めた歌舞伎町の自粛動向、これからどうなっていくんでしょうか?