先日、マスク販売に関する一枚の写真を紹介しました(記事はこちら)。私の知人が4月某日、新宿の、ホームレスの“寝床”が並ぶ高架下で撮影したものです。
商品のマスクも売り子も写っておらず、詳細はわからなかったのですが、私は好奇心を刺激されました。へぇー、新宿には“手作り”マスク売りのホームレスがいるのか、と。
遭遇できました!
見かけたのは、5月11日、夜、新宿駅の近くです。
報告します。
その人物は、帽子をかぶった40代くらいの男性でした。張り紙の主とは違う人物でしたが、2種類のマスクを売っており、丁寧に商品を見せてくれました。
「手作りマスク」1枚100円
男性「こちらは、ホームレス支援のボランティアの方が作り、福祉施設に寄付してくれたモノです。それを頂いてきたんです。もちろん未使用ですよ」
「洗えるマスク」2枚500円
男性「こちらも同じように、福祉施設からもらってきたモノです。は、手作りではなく、アメリカの靴のメーカーの、“KEEN”というブランドのマスクです」
商品を見せてもらいながら、私は妙に感心しました。
福祉施設からマスクを入手し、販売するというこんなことが行われていたなんて。この販売手法は、この男性だけでなく、冒頭に紹介した張り紙の主や、他のホームレスも行っているんじゃないかと想像しました。
また、何気に“KEEN”をネット検索してみると、メーカーのホームページに、マスクの無料提供プロジェクトについての説明が書かれていました。
何でも、新型コロナウイルスの蔓延を受け、タイの自社工場の一区画をマスク製造ラインにチェンジし、製造を開始。全世界で15万枚を無償提供するプロジェクトをスタートさせたんだとか。日本への提供先は、被災地、ホームレス状態の方、児童養護施設や女性用シェルターなどのようです。
そんなわけで、せっかくだしマスクを一つ購入することに。KEENは魅力的でしたが、ま、安いほうでいいやというチョイスで、“手作りマスク“を購入させてもらいました。
もしかしたら、寄付されたマスクを売ったり買ったりすることについては、批判的な意見もあるかもしれません。しかし、こういう社会事象もまた興味深いなぁ、と私は思います。それこそ、世界規模のプロジェクトが、こんな東洋の島国の町の片隅にまでつながっているなんて、何だか胸アツだし。
みなさんも新宿に来られた際は、よかったら“マスク売りのホームレス”を探してみて下さいませ。