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伝説の立ちんぼ『うちゃ』、歌舞伎町に戻る

投稿日:2018年7月6日 更新日:

うちゃ』が戻ってきました。うちゃというのは、かつて歌舞伎町にいつも立っていた”伝説の立ちんぼ”です。

見た目は、友近をもう少しポッチャリさせたような感じでしょうか。年齢は30代半ば。売春歴は15年以上で今も現役ですが、伝説認定するのは単純に長くやってるからというわけではありません。テレクラあたりに目を向ければ、15年どころか、20年オーバーの売春婦がゴロゴロいますし。

うちゃの凄さ、それは圧倒的な働きっぷりです。正月もクリスマスも大雪の日でさえも町に立ち、そして稼ぎまくっているという点です。

わたしの知人のフリーライターが、2015年12月31日にこんな体験をしています。

――大晦日の夜、うちゃを買ったとき、彼女のカバンに入っている手帳がふと目に留まった。何の気なく手に取ってペラペラめくってみると、年間の売春収支が記されており、その合計金額が3千300万だった――。

3千300万円。単純に365で割ると、一日9万4千円です。吉原のランカー嬢や飛田の人気嬢ならいざ知らず。三十路の友近似が、店舗というお膳立てを使わず、路上でこの金額を稼ぎ出す。皆さんどう思いますか?

驚いたフリーライターは「ウソでしょ?」と尋ねたそうです。すると彼女は「自分の手帳にウソ書くバカいねーだろ!」と言ったそうです。しかも、その後のやりとりがまた興味深い。

「でも、こんなに働いていたら、トラブルも多いんじゃないの?」

「ヘンな客にあたって、首を絞められて殺されかけたことが、3回くらいはありますよ

「やばっ。大丈夫だったの?」

わたしは強いんで。高校のとき柔道やってたから

近代柔道の祖・嘉納治五郎も、自分の柔道が、21世紀には繁華街で立ちんぼが使うまでに普及しているとは夢にも思っていなかったでしょう。

もう一度うかがいます。皆さんどう思いますか?

わたしはロックだと思います。ロックの定義について詳しいことは知りませんが、心が揺さぶられて鳥肌が立つもの、それがロックだと自分は思う。ストリートで15年勝負し、年間3千300万稼ぎ、トラブったときは柔道で撃退。これでゾクゾクしなくちゃ嘘じゃないですか!

3、4年前、うちゃは歌舞伎町から急に姿を消しました。そして池袋西口で立ちんぼを始めます。以降、わたしはずーっと、いつかのカムバックを願ってきました。

花園神社で「また戻ってきますように」とお願いしたこともあります。スカパーの番組で千原ジュニアに「うちゃは東京ナンバーワンなんです!」とアピールしたこともあります。一時期、うちゃが下町のラーメン屋でバイトを始めたときは、応援の意味を込めて食べにも行きました。

だから嬉しくて仕方ありません。願いが通じたのか、なんて表現はチープだけど、それでもそう言いたくなるほど興奮しています。

最近、歌舞伎町の『VRゾーン』付近で、うちゃをちょくちょく見かけるんです。

BGMをかけるなら、もちろん椎名林檎の『歌舞伎町の女王』。

伝説の立ちんぼのご帰還です!

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